2019年度一橋大学ロー入試(民訴法)解説③ 小問1ラスト及び小問2

 ◆解答要約・答案構成◆
(1)当事者能力(ただし当事者適格検討の前提として)  

    ↓

(2)当事者適格(権利能力がないのだから実体法上の権利は団体自身に帰属し得ない∵法人格なき社団の登記能力は認められていない{判例不動産登記法25条および不動産登記令20条2号}。
では、Aでなく団体Xが代表者個人名義への登記を求めるための理論構成は何か)
     ↓
(3)判決効の拡張(主観的範囲:構成員全員に対しても及ぶか)*今回はココ

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2019年度 一橋大学法科大学院入試選抜 民事訴訟法 小問1解説(その2:当事者適格検討)

続きです。非法・初学者であった私が躓いたところを回顧し、詳しく説明したため長いです(…7548字)

利用としては一度問題を見てみて解答し不明だった場合・正確な理解が不十分であった際に、わざわざ調べなくてもこれを読めば理解できる解説を想定して作成しています。なにもわからないかつての私を想定して。穴がなく解説したつもりですので、通常より詳細であると思いたい・・・。

 

◆解答要約・答案構成◆
(1)当事者能力(ただし当事者適格検討の前提として)
     ↓

(2)当事者適格(権利能力がないのだから実体法上の権利は団体自身に帰属し得ない∵法人格なき社団の登記能力は認められていない{判例不動産登記法25条および不動産登記令20条2号}。
では、Aでなく団体Xが代表者個人名義への登記を求めるための理論構成は何か)*今回はココ
     ↓
(3)判決効の拡張(主観的範囲:構成員全員に対しても及ぶか)

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2019年度一橋大学法科大学院入試選抜(一橋ロースクール) 民事訴訟法解答解説(その1:概要・本件問題文の読み方・当事者能力)

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きちんと解説した結果、長くなってしまいました。

項目ごとに回数を分割します

(理由:サンプル等で聞いた解説講義では、どうも法科大学院受験生に教えるには解説が短く、また解説せず再現答案を読んでいる時間が長いと思うんですよね・・・また再現ゆえに間違いが放置されるのもある・・・。そこで当初は全くの純粋未修者であった私を聞き手と想定し、解答の方法・問題文の読み方・判例との違いないし共通点を意識して書きました。・・・ら、ここまで長くなってしまいました・・・)

 

現時点で法科大学院側から出題の趣旨がでていませんが、思考過程や知識については大丈夫かと思います。出題の趣旨が出たら再度精査します。

以下にも記載の通り、当事者能力の点は省略できると思いますが、当事者適格検討の当然の前提となるため(∵一般的資格を満たして、初めて具体的資格を検討できる)、記載してあります。

出題の趣旨が出たら、場合によっては「本問では省略可能である・求められていない」と書かれるかもしれませんが(そのため記載省略パターンも本記事にあり)、正確な理解のために記載いたします。

*各項目ごとに説明したあと、最終的に筆者参考解答を示す予定です。もっとも、各項目解答のコピペになると思いますが。 

 

◆本問解答の概要・道筋◆


問題となるのは、以下の通りです。

◆解答要約・答案構成◆

(1)当事者能力(ただし当事者適格検討の前提として)*今回はココを主に解説*

      ↓

(2)当事者適格(権利能力がないのだから実体法上の権利は団体自身に帰属し得ない∵法人格なき社団の登記能力は認められていない{判例不動産登記法25条および不動産登記令20条2号}。

では、Aでなく団体Xが代表者個人名義への登記を求めるための理論構成は何か)

     ↓

(3)判決効の拡張(主観的範囲:構成員全員に対しても及ぶか)

 これを書けば良いことになります。

 

(雑談:(2)について。今まで権利能力なき社団を原告とする移転登記請求権(当事者適格)についてはいわゆる昭和47年判例がありましたが、元々の学説上の対立及び平成26年判例出現により、その解釈を巡って喧々諤々な対立があります。以下、「一般的な受験生」の目線で構成します。学者間でも凄まじく争っており、その方々と比べて圧倒的素人である私なぞ、そんな泥沼には避けて通ります)

  

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2019年度入試(2022年度については記事内リンク先(BEXA)に記載)ロースクール入試における外国語優遇(加点又は要件)制度について(+東大ロー・一橋ロー情報総論)

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法科大学院毎の外国語加算(ないし出願)要件です。(2019年度入試現在。上記添付画像を参照ください)。

2022年度入試用の外国語優遇(加点又は要件)制度については、BEXAのHPにて公開しております。2019年度と比較して、以下追記したとおり変更点も多く存在するので、注意してください。

 

【BEXA記事のリンク 2022年度入試用外国語能力加点又は要件について】

https://bexa.jp/upload/materials/540_a5c422273ea7f6712cda49ec4a84ba4d.pdf

 

 

 

 

2021年度入試時点で、慶應ローは英検1級を除外しました。注意してください(ただし、別添資料として提出は可能)
※2021年度入試はコロナウイルスの影響もあり、TOEICの提出を求めないロースクールもありました(一橋・東京)。2022年度入試も、一橋ローはTOEIC提出を求めていません
出願や志望校選択の際には、必ず募集要項を確認の上で、対応するようにお願いします。
早稲田LLMは2021年度入試時点では、TOEICではなく、TOEFL出願時点より2年以内に受験した語学テスト(TOEFL・IELTS)において,
TOEFLiBT85点以上(ITPテスト不可
または
IELTS:6.5以上のスコアを有していること
に変更されました。
これは留学の際に必要・派遣先等から求められていることが要因であると思われます。

なお、スペイン語検定等、英語資格以外の優遇要件については、各校に共通するものを除き、記載を省いている検定もあります。出願の際等、必ず募集要項を参照するようお願いします。

要確認項目は、「あくまでも例示資格で明記されていないが、その他の語学検定が認められるかについてはロースクール側に確認することを要すると記載のあるものです。黒塗り項目は、認められないことを示したものです。

 

法科大学院入試(ロースクール入試)には、TOEIC等のスコアに基づき、

①出願要件としている大学(一橋・東京)*2021年度入試を除く。2022年度については上記

 

②一部コースでは提出を要する大学(琉球大ローの特別選抜、大阪大学法科大学院の特別選抜グローバル法曹枠、早稲田ローのLLMコース(TOEFL)、中央大ローの国際法曹枠)

 

③基準点を超える場合には加点すると明記する大学(慶応義塾立命館など)

 

④書類に添付可能(あくまでもステートメントの記載内容を補完する位置づけ)

 

があります。

また、TOEICのスコアを持っていると有利に働く法科大学院があるのは上記の表の通りです。

 

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【管理人変更前の】筆者のつぶやき・ロー入試速報の情報を発するTwitterアカウントの紹介

【管理人変更前の記事です。現在も内容含め踏襲しております】

過去の記事(又は現在の記事)に

詳細は私のTwitter過去記事を参考してください

と書いてあるのに、その引用Twitterアカウントを掲載しておりませんでした。申し訳ありません。

ロースクールに関する記事は
・2019年度の法科大学院入試情報

・東大ローなど入試制度検証(2018年8月開設以後に入試のあったロースクールの入試制度・東京大学法科大学院の既習配点検証記事)

一橋大学法科大学院ロースクール)解答速報および参考文献記載(類似問題が問題集にあるのは、それを見ればわかるため参考文献参照記載に留まります)

・外国語資格の優遇校及び基準点一覧

慶應義塾法科大学院入試制度検証(過去との比較等)

・関東圏主要(中上位~最上位)ロースクール設備・制度比較

・出願日速報

・入試結果

を記載しています。

なお、雑談や明らかに無益・趣味等もありますが、そこは多めに見てくださいませ。

2021年1月早稲ロー項目変更:法科大学院(ロースクール)出願に  法律資格を添付する意味があるのか  調べてみた

よく話題になる問題として

 「予備試験の短答式試験に合格したのだが、出願予定校に評価されるのだろうか」
 「法科大学院に対して〇〇検定合格証を提出しても意味があるのだろうか」
 「宅建士・行政書士試験に合格したが、意味があるのだろうか」

 

 これに対して、

「そんな法学部生なら簡単に取れる資格、出しても評価されない」

 等といった意見があるのも事実です。

 では、実際に「法律資格」に対する書類評価上の運用については、どのようになっているのでしょうか。各法科大学院ロースクール)の運用実績を調べてみました。

 以下では【法律資格】について記載します。

*外国語資格は以下記事を参照願います


又はtwitter過去記事にも参照願います。ただし、ツイッターはあくまでも速報ですので、上記リンクよりも網羅性がありません

 

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このブログについて

元々は2018年法科大学院入試情報を提供すべく、Twitterで情報を発信していたものを、この度広く情報発信するため、ブログを開設しました。

当初から先輩方や、素晴らしい先生方が司法試験情報や勉強法など有益な情報については豊富に発信されています。

その中でこのブログは、特に情報が古く、更新されていないロー入試関連の情報を発信していくことを目的としています(同様の内容はTwitterのbio欄をご参照ください)。

特に現在は黎明期と比べて入試制度も変更されました。
2019年度入試は適性試験も廃止され(今後は不明)
かつての過剰・乱立状態であったロースクールも、当初より評判の悪い大学院については廃止されるに至っています。

一方で、ロー入試情報についてはかつてより噂が先行しており(資料に基づいたデータではないこと)、未だに情報が錯綜しています。

入試情報も変更があったのに、ブログや予備校の受験案内でさえも、改訂されず誤った情報が配信され続けているケースもあります(例:慶應義塾法科大学院の書類審査の扱い)。

そのような情報について、正しいデータや公表資料に基づき訂正・発信するのが本ブログの目的です。
そして、私の友人である藤澤先生(分析のスペシャリスト)にも協力してもらい、ブログ記事を精査してもらうつもりです。

情報が少ない要因の1つとして、予備校などで情報が発信されていないということも挙げられます。
予備校にとっては予備試験を受験してくれたほうが開講講座が儲かりますし、
また「大は小を兼ねる」という言葉のように、予備試験対策をしてマスターすれば、自然とロー入試レベルの知識も修得できるという点もあります。

が、事実、出願時点(前年度1月時点)で大学生であった者が、『出願時に大学在学中であり、かつ予備試験に合格した』という統計データを分析すると、(東大でも卒業生入れても10%程度ですが)出願時に学部3年(合格時は学部4年生)も多いです。しかし
実際の合格者は出願時4年生(現在法科大学院生である人等)が殆んどで(詳細は私のTwitter内に載せた解析資料ご参照願います)
また学部4年時(出願時3年生)に予備試験に合格しても卒業してしまうと(4年次4月に就活もしていない人が大半であることから)学生としての身分を失い、無職という不安定な地位に置かれてしまいます。
そのため、学部4年生で合格しても、結局はローに進学する又は学部に留まる等の羽目になるのも事実です。

また今年もいましたが、予備試験に最終合格しても、東大ローなどの書類審査で落とされ、かつ他に出願していなかったことから、一時、路頭に迷ってしまった(ローに進学して司法試験を受験するという進路が未定となってしまった)方もいます。
 
せっかくの成果が出た傍らで、このように路頭に迷うこととなる悲劇を生まないためにも、情報を発信していきたいと思います。


なお、情報については恐らくTwitterのほうが早く発信できると思います。

単純明快な情報でしたらTwitterを(例えば、ローの入試情報など、120字程度で収まるものは、ここで公表しないと思います)。
詳細情報については、このブログで発信したいと考えております。
宜しければご参考ください。