2019年一橋大学法科大学院入試(一橋ロースクール)憲法解説(Twitterで掲載した速報をブログ用に改め転載)

Twitter記事に解答速報として掲載しましたが、
ブログ開設記念に改めて纏めておきたいと思います。
民法を含めた簡単な参考文献等はTwitterを参照願います。

まず、憲法についてです。
問題解説・出題の趣旨が現在(H30.12.25時点)掲載されていないですが、受験生の復習のためにもまずは掲載判例・裁判例と解析速報を転載しておきます。
公式の出題の趣旨が現在公表されていないため、筆者が実際に解析したものとなりますが、誤りではないと思われます。

本件試験問題の類似・引用判例
憲法最判平成29年8月3日(判例集未記載。原審名古屋高裁金沢支部29年1月25日は判時2359号【30年4月1日号】となります。

参考裁判例TKC公開分)
https://www.lawlibrary.jp/pdf/z18817009-00-011151413_tkc.pdf
他の解説は著作権法上の問題より記載できません。
裁判所HPやお持ちの判例データベース(LLIやD1-law)を見るとより詳しくわかると思います。

この裁判例解説でもわかりやすいですが、本件の原告主張・被告反論については、一審の原告・被告の主張を整理するとわかりやすいと思います。
また、判時すなわち判例時報を図書館等で参考するのも、正確な理解に繋がるので良いと思います。

本件は行政法上も争点となっていましたが、行政法上の問題点は省略します。判例解説でも行政法判例として解説しているものもあるようです。

裁判での主な争点を簡易・答案用に要約すると以下の通りとなります。

【答案構成】
・メイン争点:(様々な事情を勘案した上で)市役所前広場は公の施設か公用物か(伝統的パブリックフォーラムか否か)
→この点については問題文でも第一段落を全て用いて、かなり事情が記載されていたので、試験においても検討を要するとのメッセージでしょう。

以下は現場でも皆さんが気付かれたと思いますが、原告側の主張と被告の主張となります。
これは、判例とほぼ同じになるでしょう。

・原告:表現内容規制:厳格(明白現在or相当の蓋然性)
vs
・被告:表現内容中立+PFではなく指定的PFゆえ裁量広い→裁量の逸脱濫用の判断→逸脱濫用なし

その他、文言「示威行為」:文言の漠然不明確(不許可処分)+過度の広範規制か否かなど(メイン争点ではありません)
行政法上の知識も含めて正確に記載するなら、行政規則の処分性が認められる上で、上記文言の明確性判断となります。

私見については、審査基準を含め上記の争点の判断であり、裁判所の判断がかなりわかりやすくかかれているので参考になると思います。

そのうちに出題の趣旨等が出ると思いますが、今年はまだ出ていないので、まずは速報として、参照裁判例などを含めて役立つ情報の簡易記載に止めておきます。
その他の科目については、いずれか更新しますが、Twitterに解説・参考文献詳細などを既に挙げておりますので、今現在はそちらを参照願います。
ただし、ボーナス問題的な要素であった刑事系刑法第1問目。民法第1問については一旦速報を削除してあります。
【追加】
2月末に出題の趣旨が発表されました。このブログに載せた判例や解答例で特に間違いという箇所はありませんでしたので、出題の趣旨が出ましたがそのまま載せておきます。

P.S.
ちなみに私は入試前、憲法については沖縄の孔子廟判例
参考:https://www.lawlibrary.jp/pdf/z18817009-00-011471664_tkc.pdf
が出ると踏んで対策していましたが、まぁ見事に外れたのは苦い思い出です。