昨年度のロースクール入試資料(法科大学院特別委員会)が公表されました。
・各法科大学院の平成31年度入学者選抜実施状況等
・志願者数の推移
・法科大学院修了認定状況
これらの情報を要約すると以下の通りです
・2019年度入学者 定員充足率平均0.83(昨年比+0.13)
以下具体的に
・2019年度入学者 定員充足率1.00を充たしたロースクール(表記順)
国立:一橋大学(1.05)、大阪大学(1.21)、琉球大学(1.19)、
私立:専修大学(1.04)、明治大学(1.20)、関西学院大学(1.20)、甲南大学(1.30)
・同 充足率0.9以上1.00未満の水準であったロースクール(以下充足率略)
公立:首都大学東京
・同 充足率0.8以上0.9未満の水準であったロースクール(平均程度)
私立:関西大学
・上記記載校を除く、主要ロースクール定員充足率
慶應義塾:0.76 中央大学:0.56 愛知大学:0.50 同志社:0.66
大阪市立大学:0.67 北海道大学:0.52 千葉大学:0.45
【考察】
2019年度の入試は、全体として見れば志願者数・倍率・入学者数等ともに回復。
志願者数については概ね四年前程度の水準(しかし10,000人は届かず)、倍率については平成24年度入試と同程度の水準に回復しました。
これは、
①立教や青学等の実績の出なかった法科大学院が淘汰され、ロー自体の数が減ったこと
②定員数等の削減により受入枠が狭くなったこと。
③適性試験の廃止、
④社会人出身者に対する社会保障制度の拡充(教育訓練金の対象化等)が挙げられると考えます(社会人項目参照)
このような影響もあって、
(昨年度2月の甲南大学ローの撤退発表以降)今年度4月以降、ロースクール撤退等の発表はありませんでした。
制度改革を見据えて、今年度については撤退方針を転換させたことも考えられます。
(もっとも、定員充足率や法科大学院給付金等の水準を見ると、今後も撤退・淘汰がないとは言い難いと考えます)。
主要ロースクールの入試出願情報の発表は間もなく始まります。
8月中旬以降の入試状況を引き続き見ていきたいと思います。